”ギトラグの怪物はすぐに勝つので許してはならない。”とはよく聞くが本当にすぐに勝つのだろうか。
すぐ勝てるのかと聞かれれば答えはおそらくYesだろう。ギトラグのコンボに必要なマナはギドラグ+共鳴者と6~7マナと少なく、緑特有のマナ加速を利用すれば3ターン目にギトラグ着地はもちろんのことそのまま勝つことも不可能ではない。それどころがクリプトなどがあれば2ターンキルも十分可能である。また、コンボパーツが土地と生物という黒緑のサーチに適している点からコンボを揃えることも容易であり、ギトラグのキャストも含めて5ターンあれば確実にコンボが決まると思っていいだろう。
では、ギトラグは本当に勝てるのだろうか。その答えはNoである。確かにギトラグの怪物は早い。おおよそ5ターンでゲームが終わるのは驚異でしかない。しかし、ギトラグにも弱点は必ずあるし、きっちりと対処すればギトラグは殺せる。いや、殺し/Snuff Outでは殺せないか…
多くの人が言う”ギトラグは止まらない。”という発言も実は挙動が特殊なだけなので、ギトラグをの非青ゆえの脆さや独特の動きをしっかりと理解すれば対処のタイミングが見えてくる。まずはギトラグがどのように勝つのかを知り、どうやって妨害すべきかを知るべきだろう。
というわけでまずギトラグの怪物の勝ち筋や特殊挙動の説明、その次に対策や止めどころの説明していきます。(あくまでも個人の感想です。)ギトラグがどんなデッキなのか知ってる人は飛ばして次の弱点の記事から読んでください。
まず、ギトラグの基本ムーブとその核となるコンボから解説。
ギトラグの怪物は5マナと重い。そのため、マナエルフ2体や太陽の指輪1枚などで3ターン目に+2マナ出る状態に持っていき、ギトラグキャストを狙うのが基本となる。1,2ターン目はマナ加速や軽量サーチをキャストしてクリプトなどの用意やコンボパーツを回収することが多く、マナ加速次第では2ターン目キャストからの3ターンキルや追加の土地プレイから朽ちゆくインプで終わりということもありうる。以下コンボパーツ。
コンボパーツ
戦場:ギトラグの怪物(ジェネラル)+共鳴者
手札:土地
墓地:発掘/Dredgeカード(ダクムーアの回収場なら無限)
ドロー誘発に際して発掘カードを捨てることで置換し、発掘の際に土地が落ちればドローが再度誘発するため、デッキを掘り進めることができる。最終的にダクムーアが落ちればそれ自身が土地のため無限に掘り進めることができる。
コンボ自体の必要枚数は多いが、以下のような強みがあるため実質共鳴者+発掘のジェネラル2枚コンボでしかも揃いやすいという感じになっている。
・キャストが必要なものはジェネラル+共鳴者であるため最低6マナでコンボ始動できる。
・土地は何でもいいためデッキの土地比率を上げることで手札に来る確率も上がり、発掘による土地が落ちる確率も含めて容易に条件を満たせる。
・土地が手札に複数あれば相手の除去や墓地対スタックで上から動ける。
・発掘はゴルガリの能力のため枚数自体はそこそこあり、無駄牌覚悟なら相当な枚数入れられる。
・共鳴者も発掘も生物が多いため黒緑ではサーチがしやすい。
特に土地なら、共鳴者なら、発掘ならなんでもいいという縛りの緩さが強みであり、ギトラグの怪物に入る可能性のあるカードは以下の通り多数ある。これらのうち、どれを採用するか、土地の比率、サーチの枚数をどうするかといった部分でギトラグの怪物は構築の幅が出てくる。
・共鳴者
朽ちゆくインプ/Putrid Imp B
オリヴィアの竜騎兵/Olivia’s Dragoon 1B
ウーナのうろつく者/Oona’s Prowler 1B(オールプレイ)
忘却の冠/Oblivion Crown 1B
首絞め/Noose Constrictor 1G
野生の雑種犬/Wild Mongrel 1G
ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec 2B
パッチワーク・ノーム/Patchwork Gnomes 3
耳裂きネズミ/Earsplitting Rats 3B
スカージの使い魔/Skirge Familiar 4B(マナ能力)
怪奇な混種/Grotesque Hybrid 4B
穴掘りワーム/Tunneler Wurm 6GG
ソーサリータイミングのみ(ドロー誘発に際して捨てられないため土地を捨ててルーティングするのがメイン。誘発ドローが土地であれば発掘→土地と捨ててデッキを掘り進めることは可能。一応ダクムーアループは可能。)
ヴォルラスの地下牢/Volrath’s Dungeon 2BB
殺人者の斧/Murderer’s Axe 4
土地のみ捨てられる(ダクムーア以外の発掘は捨てられないため、土地捨ててルーティングがメイン。一応ダクムーアループは可能。)
アイユーラの影響/Ayula’s Influence GGG
猿人の喧嘩屋/Simian Brawler 3G
生物のみ捨てられる(生物かつ発掘持ちをドロー誘発に際して捨てるため、他に引く手段かドライアドの東屋が必要。発掘時に土地が落ちなければ停止。ダクムーアループは不可能。後述するデッキを削る目的の場合には採用されるかもしれない。)
ロッテスのトロール/Lotleth Troll BG
吸血犬/Vampire Hounds 2B
エレボスの使者/Erebos’s Emissary 3B
スカイシュラウドの吸血鬼/Skyshroud Vampire 3BB
※ループに入れないため、マナのかかるものやターン1回制限のもの、2枚以上捨てるものは除外
もちろんこれらの共鳴者全部が採用されているわけではなく、穴掘りワームのように重いものはもちろん、ループに入れない生物のみ、発掘して一気に削れない土地専用やソーサリータイミングのみといった条件付きは採用されないことが多い。基本的にはこれらから絞って入れることになるのだが、2マナ以下だけでも汎用共鳴者は6枚もあり、生物サーチも含めれば実質10枚体制を超えることも容易であるため、毎試合1枚は用意することは容易だろう。
・発掘(厳密には発掘1ならば、そもそも引いて土地なら捨てるでいいため発掘2以上が採用候補)
発掘2: 5種
発掘3: 4種
発掘4: ゴルガリの凶漢/Golgari Thug のみ
発掘5: 臭い草のインプ/Stinkweed Imp のみ
発掘6: ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll のみ
発掘2は土地が落ちないことも多い(試行回数が多いため発掘3でもよく失敗する)ため、構築上では発掘3以上の採用が望ましい。発掘4以上は全てオンリーワンかつ生物のため。エルドラージによるデッキ修復も考慮すれば墓地対策は生物さえ止められればどうにかなったりする。
発掘はマナを使わないことが利点であり、確率的試行とはいえマナ無しでダクムーアにアクセスできる速度が利点である。低速~中速寄りの構築であればそもそも発掘の枠をサーチに変えて直接ダクムーアを持ってくる構築にすることも十分ありうるため、そもそもダクムーア以外の発掘がデッキに入らない場合もある。
・土地
多すぎて種類については書かないが、土地を墓地に落とすと引ける都合上能動的に落とせる土地が多く採用される傾向にある。
枚数はギトラグの能力である追加土地プレイをすることで除去されても次のターンランドプレイから再キャストにつながること、維持コストに土地がいるためコンスタントに土地を引き続けることから40以上になることも多く、発掘型の場合デッキの土地比率が重要になるため除去としても使えるイフニルの砂漠やロノムの口、ギトラグ下で2ドローとして使えるサイクリング土地やバザーなどの強力な起動能力を持つ土地を呪文枠と置換することでデッキの土地比率をさらに上げることがある。特にギトラグと相性のいい土地をいくつか挙げる。
フェッチランド:手札が減らないで土地が伸びるため強い。ギトラグ的には追加の土地プレイから即時落としてアドを稼げる+除去されても問題ないように土地を伸ばせるものが強いため、オンスロート(ゼンディカー)フェッチ> 進化する未開地= 荒漠なる変現地> 全景サイクル>=無限地帯> ミラージュフェッチの順で採用されることが多い。
サイクリングランド:ギトラグがいれば2ドローのため不特定2マナとでも相応のドローができる。ギトラグがいなくてもロームを回すなど強い動きはできる。砂漠シナジーよりもソルリンやクリプトの余りマナを活用できる点が優れているため、緑、黒1マナ> 不特定2マナ> 砂漠の順に強い。灰の痩せ地はギトラグがいれば不特定1マナで手札+1のため強いが、ロームで回せないため強さにムラがある。別物ではあるが攻めるには強いので、強いて言うなら枯渇地帯より若干強いくらいか。
土地破壊する土地:ここでは露天鉱床や幽霊街とかを指す。ギトラグ下ではコストで引けるためアド損が無く、基本的には自身の土地を破壊して2ドローする動きに専ら使われる。その場合には被害の少ない幽霊街が一番強いとまで言える。自分の土地を対象にとったら、起動誘発でギトラグを除去してやれば手札も増えないし、再キャストもしにくいためベスト。
魂の洞窟:ギトラグに限った話ではないが、青デッキの場合これがあるかないかで大きく計算が狂うくらいには強い土地。ギトラグの場合ダクムーア用に土地サーチを手段多めに入れてるので、油断するとこっちを持ってこられることも多々あるし下手するとデモチューから持ってくることすらあり得る。
家路:魂の洞窟と同様にサーチから持ってくる択があるため、袖の下やリアニメイトなどでギトラグから生物を借りる際には考慮すること。
統率の灯台:ギトラグには墓地利用としてロームやるつぼが入っていることも多く、使いまわすギミックが完成すると文字通り無限に出てくるギトラグの対処を迫られることになる。また、対象を取っていないためギトラグ下に切って1ドローといった使い方もされる。また、起動から共鳴者でギトラグ捨ててリアニという動きがあるため共鳴者とセットで場にあるときは警戒した方がいい。
次にギトラグのキルパターンについて説明する。基本的にはエルドラージの有無でパターンが異なり、以下の2つに分けられる。
1. 発掘なりを捨ててデッキを全て墓地に送った後に戦慄の復活などから勝つ
2. ダクムーアを捨ててエルドラージでデッキ修復を行い、無限ドロー無限修復から勝つ
1.のルートの場合、デッキを消し飛ばせればいいため発掘4以上でもキルするのに十分である。しかし、壊死のウーズ先出しでもない限り墓地利用がソーサリータイミングであるため墓地対策に弱い。また、ソーサリータイミングである以上ギトラグ特有のクリンナップで勝つのは不可能であるため、このルートを利用する人は少ないかと思われる。最後のリアニを潰すことで基本的には止まるため墓地対策や打消しに弱いという弱点もある。このルートのメリットは、デッキ修復を狙わないため他の墓地利用コンボと共存しやすいこと、エルドラージがいないためむかつきしやすいこと、墓地利用メインなので共鳴者でハルクやラザケシュ捨ててリアニメイトといったカエルに頼らない戦術が容易であることが挙げられる。
基本的に最後がソーサリータイミングのため妨害に弱く、エルドラージループよりもマナも手間もかかるため今では利用者が少ないが、カエル依存度を下げられるのはメリットだろう。
2.のエルドラージループは、ダクムーアループによる無限ドローと無限修復によってデッキのすべてのカードを好きなだけ使いまわせるというコンボである。基本的にはソーサリータイミングなら水連の花びらで有色無限マナが、インスタントタイミングでも黒1マナから暗黒の儀式で黒無限マナ、緑1マナから2マナ出るクレイドル(基本的にはギトラグ+共鳴者で2体はいる。)をエメラルドの魔除けで起こし続けたり、輪作で出し続けたりすることで緑無限マナが出る。緑無限の場合は輪作やエメラルドの魔除けで沼からマナを出せば黒も無限に、黒無限の場合にはインスタントリアニで裂け目掃きを無限にリアニして殺すことElvish Spirit Guideを無限起動したり、死体のダンスや浅すぎる墓穴からマナエルフを速攻付きでリアニしたりすれば緑も無限になる。そのあとは、瀉血や突風線といったX呪文、スズメバチの一刺しやゲスの評決といった相手にダメージやライフロスさせる呪文を無限キャスト、ゴンティ無限リアニやウラモグ無限キャストなど好きに倒せばいい。
このパターンのメリットは、なんと言ってもインスタントタイミングで勝つことができる点であり、クリンナップルートと呼ばれる手札制限のディスカードで勝つループが存在することである。
※クリンナップルート
ギトラグ存命かつ手札にダクムーアがあり8枚以上で発生。
・クリンナップ
手札が8枚以上のためダクムーアを捨てる→ドロー誘発をダクムーアで置換。発掘へ
・発掘
土地は…
落ちた→追加ドローへ
落ちず→クリンナップへ
・追加ドロー
墓地に発掘が…
ある→追加ドローを置換。発掘へ
ない→山札から引いてクリンナップへ
ここでダクムーアを捨てると確実に全てのクリンナップに手札が8枚を超えるため、この試行を繰り返せる。その際に追加ドローにより得たカードを捨てなかった7枚の手札と入れ替えることで理論上1枚ずつルーターできます。そのため、理論上はクリンナップを無限に行うことで最終的に理想の7枚を持った状態でダクムーアを捨ててドロー誘発させるところまで行けます。しかも、この発掘試行は無限に繰り返せるはずなので最終的には全て解決して理想の7枚+ダクムーア+デッキの発掘全て+追加ドローを得て優先権を得られる状態になるはずです。この場合、発掘の枚数分+1枚呪文を使っても手札は8枚になるため追加のクリンナップへ戻り、同様の行為を繰り返せます。
要するに、デッキ構築段階で入っているダクムーア以外の発掘の枚数+1がクリンナップルートの使える呪文数になるわけで、2枚以上手札を使えるなら暗黒の儀式+忘却の冠を打ち消されても繰り返せるため、打消しで止める場合は黒と緑マナの数(輪作は手札を減らさずに緑を黒に変換できるため)打消しを要求されるわけです。
基本的には終了ステップでギトラグを除去すべきですし、最悪クリンナップのドロー誘発に際して墓地対策やギトラグを除去でもなんとかなります。弱点は多いですが、ロームで手札増やして決めに来ることもあるため、こういう動きがあるとまずは知っておきましょう。
補足
インスタントタイミングで共鳴者を出す方法は大きく3つ
・忘却の冠
そもそもこれ自体が瞬速のためこれ一枚でも十分脅威だが、オーラ故対象の除去や誤った指図で止まるためしっかりと構えていれば問題ない。呪文滑りを出すだけでも牽制になる。また、ギトラグ対象の場合は除去一枚で両方消せる。
・瞬速を与える
凶暴な召喚、七曲がりの峡谷、出現領域が該当。凶暴な召喚は使いきりだが手札からのため奇襲性が高く、打ち消されない能力もかなり厄介である。土地であっても輪作から出てくることがあるため油断してはならない。
・インスタントで生物を出す(召喚の調べ、インスタントのリアニメイト)
召喚の調べ、浅すぎる墓穴、死体のダンス、ネクロマンシー、その場しのぎの人形などが該当。特にリアニスペルは共鳴者との相性や打ち消されたギトラグや共鳴者を安く再利用する使い方もあるため入っている可能性が高い。壊死のウーズのシナジーもあるため、墓地に共鳴者がいるかどうかくらいは見ておくといいだろう。
後半~ギトラグへの対策~(https://ninjinniranaiyo.diarynote.jp/201908300250035340/)に続く
すぐ勝てるのかと聞かれれば答えはおそらくYesだろう。ギトラグのコンボに必要なマナはギドラグ+共鳴者と6~7マナと少なく、緑特有のマナ加速を利用すれば3ターン目にギトラグ着地はもちろんのことそのまま勝つことも不可能ではない。それどころがクリプトなどがあれば2ターンキルも十分可能である。また、コンボパーツが土地と生物という黒緑のサーチに適している点からコンボを揃えることも容易であり、ギトラグのキャストも含めて5ターンあれば確実にコンボが決まると思っていいだろう。
では、ギトラグは本当に勝てるのだろうか。その答えはNoである。確かにギトラグの怪物は早い。おおよそ5ターンでゲームが終わるのは驚異でしかない。しかし、ギトラグにも弱点は必ずあるし、きっちりと対処すればギトラグは殺せる。いや、殺し/Snuff Outでは殺せないか…
多くの人が言う”ギトラグは止まらない。”という発言も実は挙動が特殊なだけなので、ギトラグをの非青ゆえの脆さや独特の動きをしっかりと理解すれば対処のタイミングが見えてくる。まずはギトラグがどのように勝つのかを知り、どうやって妨害すべきかを知るべきだろう。
というわけでまずギトラグの怪物の勝ち筋や特殊挙動の説明、その次に対策や止めどころの説明していきます。(あくまでも個人の感想です。)ギトラグがどんなデッキなのか知ってる人は飛ばして次の弱点の記事から読んでください。
まず、ギトラグの基本ムーブとその核となるコンボから解説。
ギトラグの怪物は5マナと重い。そのため、マナエルフ2体や太陽の指輪1枚などで3ターン目に+2マナ出る状態に持っていき、ギトラグキャストを狙うのが基本となる。1,2ターン目はマナ加速や軽量サーチをキャストしてクリプトなどの用意やコンボパーツを回収することが多く、マナ加速次第では2ターン目キャストからの3ターンキルや追加の土地プレイから朽ちゆくインプで終わりということもありうる。以下コンボパーツ。
コンボパーツ
戦場:ギトラグの怪物(ジェネラル)+共鳴者
手札:土地
墓地:発掘/Dredgeカード(ダクムーアの回収場なら無限)
ドロー誘発に際して発掘カードを捨てることで置換し、発掘の際に土地が落ちればドローが再度誘発するため、デッキを掘り進めることができる。最終的にダクムーアが落ちればそれ自身が土地のため無限に掘り進めることができる。
コンボ自体の必要枚数は多いが、以下のような強みがあるため実質共鳴者+発掘のジェネラル2枚コンボでしかも揃いやすいという感じになっている。
・キャストが必要なものはジェネラル+共鳴者であるため最低6マナでコンボ始動できる。
・土地は何でもいいためデッキの土地比率を上げることで手札に来る確率も上がり、発掘による土地が落ちる確率も含めて容易に条件を満たせる。
・土地が手札に複数あれば相手の除去や墓地対スタックで上から動ける。
・発掘はゴルガリの能力のため枚数自体はそこそこあり、無駄牌覚悟なら相当な枚数入れられる。
・共鳴者も発掘も生物が多いため黒緑ではサーチがしやすい。
特に土地なら、共鳴者なら、発掘ならなんでもいいという縛りの緩さが強みであり、ギトラグの怪物に入る可能性のあるカードは以下の通り多数ある。これらのうち、どれを採用するか、土地の比率、サーチの枚数をどうするかといった部分でギトラグの怪物は構築の幅が出てくる。
・共鳴者
朽ちゆくインプ/Putrid Imp B
オリヴィアの竜騎兵/Olivia’s Dragoon 1B
ウーナのうろつく者/Oona’s Prowler 1B(オールプレイ)
忘却の冠/Oblivion Crown 1B
首絞め/Noose Constrictor 1G
野生の雑種犬/Wild Mongrel 1G
ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec 2B
パッチワーク・ノーム/Patchwork Gnomes 3
耳裂きネズミ/Earsplitting Rats 3B
スカージの使い魔/Skirge Familiar 4B(マナ能力)
怪奇な混種/Grotesque Hybrid 4B
穴掘りワーム/Tunneler Wurm 6GG
ソーサリータイミングのみ(ドロー誘発に際して捨てられないため土地を捨ててルーティングするのがメイン。誘発ドローが土地であれば発掘→土地と捨ててデッキを掘り進めることは可能。一応ダクムーアループは可能。)
ヴォルラスの地下牢/Volrath’s Dungeon 2BB
殺人者の斧/Murderer’s Axe 4
土地のみ捨てられる(ダクムーア以外の発掘は捨てられないため、土地捨ててルーティングがメイン。一応ダクムーアループは可能。)
アイユーラの影響/Ayula’s Influence GGG
猿人の喧嘩屋/Simian Brawler 3G
生物のみ捨てられる(生物かつ発掘持ちをドロー誘発に際して捨てるため、他に引く手段かドライアドの東屋が必要。発掘時に土地が落ちなければ停止。ダクムーアループは不可能。後述するデッキを削る目的の場合には採用されるかもしれない。)
ロッテスのトロール/Lotleth Troll BG
吸血犬/Vampire Hounds 2B
エレボスの使者/Erebos’s Emissary 3B
スカイシュラウドの吸血鬼/Skyshroud Vampire 3BB
※ループに入れないため、マナのかかるものやターン1回制限のもの、2枚以上捨てるものは除外
もちろんこれらの共鳴者全部が採用されているわけではなく、穴掘りワームのように重いものはもちろん、ループに入れない生物のみ、発掘して一気に削れない土地専用やソーサリータイミングのみといった条件付きは採用されないことが多い。基本的にはこれらから絞って入れることになるのだが、2マナ以下だけでも汎用共鳴者は6枚もあり、生物サーチも含めれば実質10枚体制を超えることも容易であるため、毎試合1枚は用意することは容易だろう。
・発掘(厳密には発掘1ならば、そもそも引いて土地なら捨てるでいいため発掘2以上が採用候補)
発掘2: 5種
発掘3: 4種
発掘4: ゴルガリの凶漢/Golgari Thug のみ
発掘5: 臭い草のインプ/Stinkweed Imp のみ
発掘6: ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll のみ
発掘2は土地が落ちないことも多い(試行回数が多いため発掘3でもよく失敗する)ため、構築上では発掘3以上の採用が望ましい。発掘4以上は全てオンリーワンかつ生物のため。エルドラージによるデッキ修復も考慮すれば墓地対策は生物さえ止められればどうにかなったりする。
発掘はマナを使わないことが利点であり、確率的試行とはいえマナ無しでダクムーアにアクセスできる速度が利点である。低速~中速寄りの構築であればそもそも発掘の枠をサーチに変えて直接ダクムーアを持ってくる構築にすることも十分ありうるため、そもそもダクムーア以外の発掘がデッキに入らない場合もある。
・土地
多すぎて種類については書かないが、土地を墓地に落とすと引ける都合上能動的に落とせる土地が多く採用される傾向にある。
枚数はギトラグの能力である追加土地プレイをすることで除去されても次のターンランドプレイから再キャストにつながること、維持コストに土地がいるためコンスタントに土地を引き続けることから40以上になることも多く、発掘型の場合デッキの土地比率が重要になるため除去としても使えるイフニルの砂漠やロノムの口、ギトラグ下で2ドローとして使えるサイクリング土地やバザーなどの強力な起動能力を持つ土地を呪文枠と置換することでデッキの土地比率をさらに上げることがある。特にギトラグと相性のいい土地をいくつか挙げる。
フェッチランド:手札が減らないで土地が伸びるため強い。ギトラグ的には追加の土地プレイから即時落としてアドを稼げる+除去されても問題ないように土地を伸ばせるものが強いため、オンスロート(ゼンディカー)フェッチ> 進化する未開地= 荒漠なる変現地> 全景サイクル>=無限地帯> ミラージュフェッチの順で採用されることが多い。
サイクリングランド:ギトラグがいれば2ドローのため不特定2マナとでも相応のドローができる。ギトラグがいなくてもロームを回すなど強い動きはできる。砂漠シナジーよりもソルリンやクリプトの余りマナを活用できる点が優れているため、緑、黒1マナ> 不特定2マナ> 砂漠の順に強い。灰の痩せ地はギトラグがいれば不特定1マナで手札+1のため強いが、ロームで回せないため強さにムラがある。別物ではあるが攻めるには強いので、強いて言うなら枯渇地帯より若干強いくらいか。
土地破壊する土地:ここでは露天鉱床や幽霊街とかを指す。ギトラグ下ではコストで引けるためアド損が無く、基本的には自身の土地を破壊して2ドローする動きに専ら使われる。その場合には被害の少ない幽霊街が一番強いとまで言える。自分の土地を対象にとったら、起動誘発でギトラグを除去してやれば手札も増えないし、再キャストもしにくいためベスト。
魂の洞窟:ギトラグに限った話ではないが、青デッキの場合これがあるかないかで大きく計算が狂うくらいには強い土地。ギトラグの場合ダクムーア用に土地サーチを手段多めに入れてるので、油断するとこっちを持ってこられることも多々あるし下手するとデモチューから持ってくることすらあり得る。
家路:魂の洞窟と同様にサーチから持ってくる択があるため、袖の下やリアニメイトなどでギトラグから生物を借りる際には考慮すること。
統率の灯台:ギトラグには墓地利用としてロームやるつぼが入っていることも多く、使いまわすギミックが完成すると文字通り無限に出てくるギトラグの対処を迫られることになる。また、対象を取っていないためギトラグ下に切って1ドローといった使い方もされる。また、起動から共鳴者でギトラグ捨ててリアニという動きがあるため共鳴者とセットで場にあるときは警戒した方がいい。
次にギトラグのキルパターンについて説明する。基本的にはエルドラージの有無でパターンが異なり、以下の2つに分けられる。
1. 発掘なりを捨ててデッキを全て墓地に送った後に戦慄の復活などから勝つ
2. ダクムーアを捨ててエルドラージでデッキ修復を行い、無限ドロー無限修復から勝つ
1.のルートの場合、デッキを消し飛ばせればいいため発掘4以上でもキルするのに十分である。しかし、壊死のウーズ先出しでもない限り墓地利用がソーサリータイミングであるため墓地対策に弱い。また、ソーサリータイミングである以上ギトラグ特有のクリンナップで勝つのは不可能であるため、このルートを利用する人は少ないかと思われる。最後のリアニを潰すことで基本的には止まるため墓地対策や打消しに弱いという弱点もある。このルートのメリットは、デッキ修復を狙わないため他の墓地利用コンボと共存しやすいこと、エルドラージがいないためむかつきしやすいこと、墓地利用メインなので共鳴者でハルクやラザケシュ捨ててリアニメイトといったカエルに頼らない戦術が容易であることが挙げられる。
基本的に最後がソーサリータイミングのため妨害に弱く、エルドラージループよりもマナも手間もかかるため今では利用者が少ないが、カエル依存度を下げられるのはメリットだろう。
2.のエルドラージループは、ダクムーアループによる無限ドローと無限修復によってデッキのすべてのカードを好きなだけ使いまわせるというコンボである。基本的にはソーサリータイミングなら水連の花びらで有色無限マナが、インスタントタイミングでも黒1マナから暗黒の儀式で黒無限マナ、緑1マナから2マナ出るクレイドル(基本的にはギトラグ+共鳴者で2体はいる。)をエメラルドの魔除けで起こし続けたり、輪作で出し続けたりすることで緑無限マナが出る。緑無限の場合は輪作やエメラルドの魔除けで沼からマナを出せば黒も無限に、黒無限の場合にはインスタントリアニで裂け目掃きを無限にリアニして殺すことElvish Spirit Guideを無限起動したり、死体のダンスや浅すぎる墓穴からマナエルフを速攻付きでリアニしたりすれば緑も無限になる。そのあとは、瀉血や突風線といったX呪文、スズメバチの一刺しやゲスの評決といった相手にダメージやライフロスさせる呪文を無限キャスト、ゴンティ無限リアニやウラモグ無限キャストなど好きに倒せばいい。
このパターンのメリットは、なんと言ってもインスタントタイミングで勝つことができる点であり、クリンナップルートと呼ばれる手札制限のディスカードで勝つループが存在することである。
※クリンナップルート
ギトラグ存命かつ手札にダクムーアがあり8枚以上で発生。
・クリンナップ
手札が8枚以上のためダクムーアを捨てる→ドロー誘発をダクムーアで置換。発掘へ
・発掘
土地は…
落ちた→追加ドローへ
落ちず→クリンナップへ
・追加ドロー
墓地に発掘が…
ある→追加ドローを置換。発掘へ
ない→山札から引いてクリンナップへ
ここでダクムーアを捨てると確実に全てのクリンナップに手札が8枚を超えるため、この試行を繰り返せる。その際に追加ドローにより得たカードを捨てなかった7枚の手札と入れ替えることで理論上1枚ずつルーターできます。そのため、理論上はクリンナップを無限に行うことで最終的に理想の7枚を持った状態でダクムーアを捨ててドロー誘発させるところまで行けます。しかも、この発掘試行は無限に繰り返せるはずなので最終的には全て解決して理想の7枚+ダクムーア+デッキの発掘全て+追加ドローを得て優先権を得られる状態になるはずです。この場合、発掘の枚数分+1枚呪文を使っても手札は8枚になるため追加のクリンナップへ戻り、同様の行為を繰り返せます。
要するに、デッキ構築段階で入っているダクムーア以外の発掘の枚数+1がクリンナップルートの使える呪文数になるわけで、2枚以上手札を使えるなら暗黒の儀式+忘却の冠を打ち消されても繰り返せるため、打消しで止める場合は黒と緑マナの数(輪作は手札を減らさずに緑を黒に変換できるため)打消しを要求されるわけです。
基本的には終了ステップでギトラグを除去すべきですし、最悪クリンナップのドロー誘発に際して墓地対策やギトラグを除去でもなんとかなります。弱点は多いですが、ロームで手札増やして決めに来ることもあるため、こういう動きがあるとまずは知っておきましょう。
補足
インスタントタイミングで共鳴者を出す方法は大きく3つ
・忘却の冠
そもそもこれ自体が瞬速のためこれ一枚でも十分脅威だが、オーラ故対象の除去や誤った指図で止まるためしっかりと構えていれば問題ない。呪文滑りを出すだけでも牽制になる。また、ギトラグ対象の場合は除去一枚で両方消せる。
・瞬速を与える
凶暴な召喚、七曲がりの峡谷、出現領域が該当。凶暴な召喚は使いきりだが手札からのため奇襲性が高く、打ち消されない能力もかなり厄介である。土地であっても輪作から出てくることがあるため油断してはならない。
・インスタントで生物を出す(召喚の調べ、インスタントのリアニメイト)
召喚の調べ、浅すぎる墓穴、死体のダンス、ネクロマンシー、その場しのぎの人形などが該当。特にリアニスペルは共鳴者との相性や打ち消されたギトラグや共鳴者を安く再利用する使い方もあるため入っている可能性が高い。壊死のウーズのシナジーもあるため、墓地に共鳴者がいるかどうかくらいは見ておくといいだろう。
後半~ギトラグへの対策~(https://ninjinniranaiyo.diarynote.jp/201908300250035340/)に続く
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